ことばの由来もわかる!故事成語について楽しく学べる本を紹介【故事成語を知る辞典】
今回は『故事成語を知る辞典』を紹介します。
この本では、870語の故事に由来することばが収録されていて、意味、背景、用法がわかりやすく解説されています。この用例や解説が面白いです。また、中国の故事の他に日本や西洋の故事によることばも取り上げられています。身近な言葉が実は故事成語だったなど新たな発見ができたりもします。
- 故事成語を知る辞典について
- 故事成語とは?
- 面白いと思った故事成語の例を紹介
それではよろしくお願いします。
ご紹介するのはこの本です。
『小学館 故事成語を知る辞典』です。ことわざを知る辞典の姉妹書です。
基本情報
- 編者:円満字二郎さん
- 出版社:小学館
- ページ数:383ページ
- 本の大きさ:11.2 x 2 x 18.2 [cm]
本の特徴
- 日常生活でよく使われることばの背景がよくわかる辞典
- 870語の故事成語を収録
- 中国の故事に由来するものに加えて、日本や西洋を起源を持つことばについても取り上げている
- 故事成語の使用例を文学作品などから抜粋した例文を紹介している
- 編者が特に知っておいて欲しいとものとして選んだ100語については1ページを丸々使って丁寧に解説している
- 「夫婦と結婚にまつわる故事成語」「酔っ払いたちの故事成語」など、様々な角度から故事成語を紹介するコラムが随所に入っている
- キーワードから故事成語を検索できる「分類索引」付き
- 本が小さめなので持ちやすい
本の構成
本の構成をまとめます。
- 故事成語の解説
- コラム
- 分類索引
故事成語の解説ではこのような内容を取り扱っています。故事成語の意味だけを記載した一覧や辞典ではなく、「故事成語」を「知る」ことに焦点を当てた構成になっているのでわかりやすいです。
故事成語の解説で取り上げている内容
- 故事成語の意味
- 文学作品などの使用例を例文として紹介
- 故事成語の背景と使い方などについての解説
- 類句、対義、同じ意味の別の表現(異形)について
- 英語や中国語などで似た意味の外国語の故事成語の例
コラムではこのような題材を取り扱っています。ことわざと同様にこちらもどれも興味を惹く内容だったので読んでいて面白かったです。
コラムで取り上げている内容
- 故事成語ってどんなもの?
- 司馬遷と「史記」の時代
- 「三国志」の英雄たち
- 「論語」と孔子の名言
- 自由を愛した文人、陶淵明
- 夫婦と結婚にまつわる故事成語
- お金持ちと貧乏人の生きざま
- 酔っ払いたちの故事成語
- 故事成語の世界の動物たち
- 意外と身近な故事成語
故事成語とは?
これまでこの言葉の意味について調べたことがなかったので調べてみました。
故事成語(こじせいご)とは、主に中国の古典文学や歴史上のエピソードから生まれた言葉の一種である。それぞれの故事成語は、特定の故事や逸話に由来し、その背後にある物語を通じて具体的な意味や教訓を伝える。故事成語は、その簡潔さと象徴性から、日常会話や文章の中で広く用いられ、情報を効率的に伝達する手段となっている。 故事成語には、「掛け声の虎」や「塞翁が馬」など、特定の歴史的な出来事や人物を指すものが多い。これらの故事成語は、その由来となる故事を知ることで、より深い理解が可能となる。また、故事成語は、その象徴的な意味から、比喩や暗喩としても用いられることがある。
「故事成語(こじせいご)」の意味や使い方 わかりやすく解説 Weblio辞書
英語だと「idiom derived from historical events or classical literature of China」と表現するみたいです。
ことわざとは意味が少し異なる
混同しやすいことわざの意味についても調べてみました。
古くから言い伝えられてきた、教訓または風刺の意味を含んだ短い言葉。生活体験からきた社会常識を示すものが多い。「情けは人のためならず」「まかぬ種は生えぬ」の類。
「ことわざ」の意味や使い方 わかりやすく解説 Weblio辞書
両者の意味を見比べてみると
- ことわざ:古くから言い伝えられてきたような言葉で特定の出来事は関係ない
- 故事成語:過去の出来事をもとにして作られた言葉
意味は同じだと思っていましたが、調べてみるとそれぞれこのような意味だったので、全く同じ意味というわけではないということを知りました。
言葉とことばの違いは?
中学生か高校生くらいのときに教わったような気がしますが、これも気になったので調べてみました。
「言葉」と「ことば」の違いについてです。
これは深く難しい内容ですね。調べてみましたが、筆者には「両者の明確な違い」を説明できそうにありません。
※参照させていただきました。これが核心に近そうな。
日本語のチカラ: 「ことば」と「言葉」 (kf-planning.blogspot.com)
- 音や声でもわかる「やまとことば(=日本固有の語)」などが「ことば」
- 文字によってわかる漢語などから来ているものが「言葉」
- 全部ひっくるめると「ことば」を使うのが妥当?
自信はないですがこんなところでしょうか。難しいですね。この解釈は果たして合っているのだろうか。わかるひとがいれば教えてほしいです。
面白いと思った故事成語の例を紹介
面白いと思った故事成語の例を少し紹介します。
人間万事塞翁が馬
- 幸か不幸かは容易には判断しづらい
- 中国の北端、国境の「塞(とりで)」の近くに住んでいた「翁(老人)」と飼っていた馬に関する故事
火の車
- 家計が非常に苦しいことのたとえ
- 仏教のとある本などが由来とされている
目から鱗が落ちる
- 何かのきっかけで物事が急に理解できるようになる
- 新約聖書に見える話からきているとされる
為せば成る
- どんなことでも強い意志をもって実行すれば成し遂げられる
- 江戸時代中期の上杉鷹山という藩主の手紙に出てくる和歌から
- 武田信玄の歌にも似たようなものがあるらしい
登竜門
- 突破すれば出世に繋がるような難しい関門のたとえ
- 後漢王朝の時代の中国でのこと
- 李膺という当時の乱れた世の中で正しい政治を続けていた者がいた
- その李膺と親しい関係になった者を黄河の急流にたとえて「竜門を登る」と呼んでいたらしい
- 唐王朝の時代になると科挙という試験に合格することを指すようになり、出世を意味するようになった
本を読んだ感想
本を読んで思ったこと
- 故事成語ってこんなにあったのか
- 実際にあったものが由来になっているので想像しやすい
- 文学作品などの使用例がわかりやすさい
- 故事成語の背景や使い方の解説に小ネタが含まれていて面白い
- 日本や中国由来のものだけではなく、西洋由来の言葉も沢山あることを知り驚いた
- 時間潰しにちょうどいい
- 故事成語ってどれくらいあるのだろうか
まとめ
以上、『故事成語を知る辞典』についてでした。
かっこいい言葉や面白い言葉が沢山あってとても勉強になりました。背景や由来に加えて興味を惹く解説などがあり、故事成語を知るための様々な工夫が凝らされていたので、読んでいて飽きなかったです。よく使う870語の故事成語を収録しているので、一般常識として読んだり、座右の銘を見つけたり、といった使い方もできるんじゃないかなと思います。
それではこれで終わります。